【街金は見た!】ぼくとあなたが落ちた借金の穴、底なし沼——「ガラ悪いんですけど……」街金で就職&返済の日々 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【街金は見た!】ぼくとあなたが落ちた借金の穴、底なし沼——「ガラ悪いんですけど……」街金で就職&返済の日々

【多重債務の現実】ぼくと街金③

■債務者だった皆さん、元気ですか? 

 競合他社の猛攻で回収が難航していると、おじさんが債務者に直接電話します。
 「おい社長! ワシの後回しにしてんのなんで? ワシ出張らすの?」
 「え、こないだ払いましたけど」
 おい社長、ほかの取立てとごっちゃになってるやんけ。
 おじさん、ぼくが使い込んだとちょうキレます。
 「いや、もらってないですよ。よそと勘違いしてるんじゃないですかね。クソ債務者とぼく、どっち信用するんですか」
 「おまえもクソ債務者やけん、どっちもどっちやろが。はらかくけん、二度と電話してくんな」
 はい、おっしゃる通りです。まだ債務者です。元金の3倍くらい払ってるクソ債務者です。
 3ヶ月、コツコツ築き上げた信用も、一瞬で崩れます。
 しかも第三者の適当な発言で。
 
 でもおじさん、翌日には、
 「東京でしか手に入らん靴あるんや、こないだ藤原ヒロシが履いてたやつや。3足くらい買って送ってくれんか?」
  と電話してきます。東京限定を同サイズ3足仕入れろとか、無茶しか言いません。
 
 あのころのぼくは、おじさん奴隷のストレスをぜんぶ債務者の人たちにぶつけていました。
 債務者だった皆さん、元気ですか? あのときはごめんなさい。
 ぼく、どうかしてたんです。実は、ぼくもあなたと同じ債務者でした。
 ぼくはいま、あなたたちをネタにしています。
 貴重な経験を、ありがとう。

    ぼくとあなたが落ちた借金の穴。
 底なし沼に落ちた。助けて。誰も助けてくれない。どうして、どうして。 
 這い上がろうともがけばもがくほど深みにはまる底なし沼。
 でも実は、あなたの落ちた穴、上からみたら底が見える小さな穴。
 大丈夫、無理しない。借金なんかに身体張らない。
 ほら、ぼくいま、街金。生きてます。
(次回につづく) 

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金融業

20代より金融業に携わる。福岡と東京で修行し、現在、池袋で金融業(街金)を経営。この道20年を超えるベテランで、自分が金融業に入るきっかけを書いた自叙伝『ぼくと街金』(note)が好評を博す。Twitterアカウント:@tetukuruixi


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